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テーマ13「エアー駆動式ハンドポリシャーの基礎知識」

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手持ち研磨機械(ハンドポリシャー)の概要

ハンドポリシャーは石材研磨専用の設計となっており、同じ石材用でも成形に使用される乾式研磨工具を取り付けるグラインダータイプのものと、研磨仕上げ工程に使用される湿式研磨用ダイヤモンド工具などを取り付けるポリシャータイプとでは、回転数や機構が異なる。今回は、研磨仕上げ工程で使う、湿式研磨用ダイヤモンド工具を取り付けるエアー駆動式のハンドポリシャーについて説明する。

機械の種類

ハンドポリシャーは電動駆動式(以下電動式)とエアー駆動式(以下エアー式)の二種類があり、それぞれの特性を活かして選択するのが望ましい。

電動式(図1)

特徴

100Vの家庭用電源で動くので、使う場所を選ばない。発電機があればどこでも使うことができる。回転、トルク共に安定しているため、加工性は良い。

短所

電動モーターを内蔵するので重く、大きい。電気を使うリスクがある。(感電など)。連続長時間使用ができない。(定格の遵守)構造が複雑になり故障のリスクが高い。(機械寿命)

エアー式(図2)

特徴

コンプレッサーのエアーを利用して主軸を回転させる。単純な機械構造で故障に強い。電動モーターなどの動力装置が必要ないため、本体そのものが小さく軽いため、非力な方でも扱いやすい。
電動モーターのように定格に縛られないため、長時間連続して使用できる。

短所

コンプレッサーが必要なため、稼動場所が限定される。エアーの供給事情により回転が不安定になるのと、研磨に必要なトルクが不足する場合がある。

機械構造(図3)

本体:胴体は主にアルミ製で、筒状の構造になっている。胴体内部にはローターが組み込まれ、エアーを送り込んでローターから主軸を駆動させる仕組みになっている。
本体形状はL型になっており、L角部はヘッドと呼ばれ、内部にローターの回転を主軸に伝える傘型ギアが組み込まれている。エアーを胴体内部に送り込み、ベーンと呼ばれる羽根の部分でその空気を受けローターを回転させ、傘型ギアで回転方向を変換し、工具が装着される主軸を回す仕組みとなっている。エアーは本体内部を通った後、排気口より排出される。
エアー式の場合、エアーバルブを操作することで、主軸の回転数を調整することが容易に行える。但し、その場合トルクも減じることになる。

出力:コンプレッサーからエアーを送られて駆動するエアー式ポリシャーの出力は駆動に必要なエアーの圧力、エアー(空気)消費量が基本となる。
従来コンプレッサーは空気吐出量や圧力など使用する環境に必要な能力(主には馬力や出力として表記)のものを選定して設置する。したがって、エアーポリシャーを説明書通りの性能(回転数、トルクなど)で稼働させるには、使用条件として定められたエアーをコンプレッサーから供給する必要がある。
もし小さな馬力のコンプレッサーに何台ものエアー工具(ポリシャー以外のものも)をつなげて、同時使用すると回転数、トルクともに著しく低下し本来の性能は発揮できない。(図4)

エアー式ハンドポリシャーの運用について

エアー式ポリシャーの回転数とトルクを確保するには、必要となるエアー量を供給する必要がある。エアー消費量は車の燃費のようなもので、大きなエンジンを積んだ車は燃料をよく使うがトルクがあり、余裕のある走りができるし、小さなエンジンだと燃費がよく経済的であるが、トルクが小さく坂道や高速道路では速度が確保できない。
石材の研磨に置き換えた場合、切れ味で仕事をするダイヤモンドパッドの場合トルクは小さくて済むが、最終のツヤ出し工程では、水量を絞って研磨すると抵抗値が高くなりトルクが必要となる。
この場合、自社の研磨の方法に合わせたポリシャーを選択すれば間違いがない。
なお、選択するダイヤモンドパッドなどの工具側にも適性回転数が設計値として設定されており、これを大幅に超えて使用した場合、焼けや研磨ムラが生じたりすることがある。

作業時の注意事項

ポイント
☆排気エアーを石材に直接当てない
・コンプレッサーから出る圧縮空気には水分や鉄粉、油分が含まれることがある。エアー式ポリシャーから排気されるエアーにはこれらに加えポリシャーからのモーターオイルや鉄粉が混じることもあるため、このエアーを石材に直接当てると、油染みや鉄粉の付着で研磨のトラブルを招く可能性がある。

☆使用後のエアーモーターオイル注入を忘れない
・エアー式ポリシャーの内部構造は単純な作りになっているが、胴体はじめローターや主軸などは金属でできているため、錆びつきは回転不良などの故障の原因になる。
特にコンプレッサーのエアーには水分や油分などが含まれているので、使用後には空気流入口のエアーホースを抜いて、エアーモーターオイルを1CC滴下した後、ホースをつなぎ弁を開けて少し回転させてから作業を終了することでトラブルが防げる。(図5)

オイル注入作業は必ず、コンプレッサーからエアーホースを抜いて行うこと。

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